住まいの図書館出版局 より1997年に刊行された「ふすま」が文庫で復刊。 日本家屋固有の表具である「ふすま」は、単なる間仕切りの役割を超えて日本人の世界観や自然観を体現してきた。経師・表具師の家庭で育ち、西洋でデザインを学んだ周太郎が、「ふすま」を日本文化の原風景と位置付ける。表具師として数多くの日本建築に携わった父、一太郎との、類い稀なる対談を併録。 ■目次 ・はじめに ・第一章 ふすまという現象 向井周太郎 光とふすまの聖性/「奥」という観念とふすま/「すき」と「さはり」の結界を意識/「しつらい」 すきとさわりの空間装置/宇宙観模型としての「にわ」と「ふすま」/「かざり」の両義性と「ふすま」/「すき」の復活 新しい「数寄」の創造/「すき」としての「ふすま」 ・第二章 対話・ふすまという技と意匠 向井一太郎+向井周太郎 「骨縛り」と「ほねし」/和本の反古紙/経師・表具師の仕事/正麩糊から化学糊へ/建築家との出会い/吉田五十八先生好み/黒絣の腰張り/モダン・デザインと数寄屋/吉田五十八特別賞/関係性の技術、美学/現代の日本人と襖/石間工務店と水澤工務店/村野藤吾先生の設計手法/「黄金の茶室」の復原/表具の技術や意匠/向井流の職人仕事/空調設備を考慮した襖/からかみの文様/東大寺大仏殿の昭和の大修理 ・東京表具・向井一太郎表具製作年譜抄録 ・主な参考文献 ・あとがき ・文庫版のためのあとがき ・襖越しの美学 伊藤ていじ ・解説「ふすま」に透かし見る日本文化論 金子務
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