1925年、パリ万博で新しい造形様式が誕生した。幾何学的でスピード感に溢れたアール・デコである。鉄とコンクリートという近代の技術的所産によって機能を満たしつつ、華やかな装飾的細部に彩られ、官能性と合理性を併せ持つアール・デコ建築は、大衆化社会の進行と歩調を合わせて世界に拡がってゆく。モダンでキッチュ、貴族的で大衆的、官能的で合理的と、多彩な側面を持つアール・デコ建築をフランス、アメリカ、中南米、アジアに訪ね、思想と造形の関わりを考える。 ■目次 ・はじめに ・1. アール・デコ建築の誕生 名前の由来/アール・ヌーヴォーとアール・デコ/諸々の近代運動との関わり/鉄筋コンクリート造の所産/クラシックとモダニズムの狭間/アール・デコ建築の特徴 ・2. アール・デコと同時代の文化 キッチュと洗練/乾いた官能性/客船と客車の時代/百貨店の興隆とファッションの次代/映画とキャバレーの時代 ・3. アール・デコの建築家 フランスの建築家/多産の建築家ジャン・ブーシェ/アール・デコのパイオニアとしてのライト/ヨーゼフ・ホフマンとセセッションの建築家/チェコのキュビスムの建築家 ・4. 世界のアール・デコ建築 アール・デコ博覧会の遺産/フランスのアール・デコ建築/アメリカのアール・デコ建築/アジアのアール・デコ建築/中南米のアール・デコ建築/日本のアール・デコ建築 ・5. アール・デコ建築の現在 ポスト・モダンとアール・デコ/アール・デコ建築の保存/ファサード保存の功罪/アール・デコ建築のオーセンティシティ ・おわりに 都市景観としてのアール・デコ ・図版出展一覧/主要参考文献/あとがき
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