古来、観月と日本建築は深く結びついていた。なかでも、八条宮智仁親王によって創建され、「日本の美のシンボル」と称される桂離宮、斜陽の将軍・足利義政が晩年の情熱のすべてを傾けた銀閣寺、豊臣秀吉が「不死身」を祈って造った伏見城を語る上で、月の存在を無視することはできない。日本文化に重要な痕跡を残した彼らは、どんな月を眺めていたのだろうか。敗者のシンボルか?滅びの美か?月に翻弄された数奇なドラマがここにある。 ■目次 ・はじめに ・第一章 桂離宮・・・月を仕掛けた建築 ・第二章 観月と日本建築 ・第三章 勝者と敗者のシンボル ・第四章 伏見城・・・豊臣秀吉の死の不安 ・第五章 銀閣寺・・・足利義政の孤独、月への避難 ・おわりに ・参考文献
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