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<Small City Set> -多数性としての10万人都市-
2004年07月01日-2004年07月28日

SMALL CITY SET 〜メガロポリスから小都市へ〜

本展覧会は、2002年から有志により始められたコンパクトシティ研究をもとに、「小さな都市の集合」についての、研究と成果をまとめたものです。
私たちは、「小さな都市」に関する議論や考察を重ねる過程で、少数のメガロポリスではなく、世界の無数の小都市に焦点を当てる、という方向性を次第に見出していきました。その延長で、アジア、ヨーロッパ、日本の小都市調査を数回にわたって行ってきました。それによって、それぞれの小都市がかかえる問題とその潜在的な魅力に触れ、都市の多数性をおりに触れて感じ取ってきました。
この展覧会では、そうした研究と調査を踏まえて、[トラヴェローグ] [オブジェクト] [リバイタリゼーション] という3つの側面から、多数性としての小都市を対象化しています。
初めに、[トラヴェローグ] の部門においては、私たちがこれまで調査を行ってきた小都市を、旅行者の視点によって紹介していきます。ここでは、タイ、イギリス、フランス、ドイツ、そして日本のいくつかの小都市が、私たちにかいま見せてくれた風景を切り取り、「小都市の集合」を多様に描き出していきます。
次に、[オブジェクト] の部門では、これまで調査した都市の中からケーススタディとして日本の群馬県・桐生市を取り上げ、その都市の状況を読みこんでいきます。ここでは、人口規模10万人の日本の小都市の特性を、数回にわたる調査に即して対象化し、いくつかの次元から細かく記述していきます。
最後に、[リバイタリゼーション] の部門においては、日本の小都市がかかえる問題を再認識しつつ、ケーススタディとしての桐生市を対象に、今後のあり得るべき都市再生の方途を探ります。ここでは、都市再生の解法として考え得るいくつかの手法を、セットとして提示します。
SMALL CITY SETは、だから、「世界における、無数の小都市の集合」と、「小都市の中の、有り得るべき手法の集合」という二重の意味が含まれています。
ここには、今後の新しい都市のゆくえを見据え、その可能性を確かめるひとつの見方として、世界の全体を、小さな都市の集まりととらえ見直すことができるのではないか、という思いが込められています。
「小さな都市」による、世界の読み直し。そのささやかな試みのひとつとして、この展覧会で表現しようとした何かが、一人でも多くのみなさんに伝わってくれれば、と思っています。
【スモールシティ研究グループ】